これまでのお客様対応の考え方と
方法をまとめた自主行動基準

プロフィール    
 事業者団体名 : 株式会社山本芳翠園
  (URL http://www.aojiru-yamamoto.co.jp/)
従業員数 : 5人(正社員4人、非正規社員1人)(平成18年10月現在)
活動概要 : 緑茶と青汁の製造、卸売、小売(通信販売のみ) 主に、他社に対してOEM商品や原料を供給している
沿革 : 平成5年 緑茶の卸売業として創業
  平成10年  粉末の緑茶と粉末の大麦若葉を混合した青汁を開発し、OEM供給の開始とインターネットを通じた小売販売を開始
  平成13年 お客様アンケートを実施
  平成14年 有機JAS規格の認定を受ける
  平成18年 大阪府知事に対し自主行動基準を届出(事業者第1号)

食品の安全・安心を重視した消費者対応

(創業時から無農薬で有機肥料栽培の原料を使用)

 同社は創業時から、無農薬で有機肥料栽培された原料を使用しています。そして、産地と直接契約して、原料の調達から茶葉の焙煎加工まで一貫して品質を管理し、販売しています。食品メーカーとして、安全・安心で高品質な商品を提供することが重要だと考えているからです。
原料の茶葉は、三重県の度会茶を使っています。度会茶の農家は、30年前から無農薬で有機肥料栽培に自主的に取組んでいます。
 また、青汁の原料になる大麦若葉はオーストラリアから輸入しています。海外でオーガニックといえば無農薬で有機肥料栽培のことを意味し、厳格な品質管理が行われています。しかし、原料の価格が30〜50%程度高く、産地と直接取引することによってコスト削減を図っていますが、若干販売価格が高くなります。それでも、お客様の健康と食品の安全・安心の確保を第一に考え、お客様に理解を求めて販売しています。

(品質に対するこだわりを理解してもらう取組)

品質に対するこだわりを持ち様々な取組をしています。たとえば、(1)有機JAS規格の認定、(2)商品の成分や効能に関する詳細な情報提供、(3)原材料の毎年の検査の実施、(4)法律で義務付けられていない粉末原料の殺菌について、酵素を殺してしまわないようにオゾン殺菌を行っていることなどです。
 これらの取組には、外注先や取引先の協力が欠かせません。有機JAS規格(*1)に適合できるよう、外注先の工場に対して同社が指導しています。取引先の工場にとってはコストがかかりますが、有機JAS認定工場になることが、他の工場との差異につながり、新たな取引先の開拓にもつながることを説明し協力を得ています。

商品に適した販売方法とお客様対応の採用

(お客様に勧誘しない販売方針)

 8年前に、粉末の緑茶と粉末の大麦若葉をブレンドした青汁を開発し、メーカーや通信販売業者に対してOEM供給するほか、お客様に対してインターネットで販売しています。お客様に対してインターネットで販売しているのは、商品の特徴、成分や効能などの安全性に関する正確な情報を直接提供し、お客様の理解を得られなければ売れない商品だからです。
 販売は、お客様に対して直接勧誘しない方針です。このため、無理な勧誘をせずお客様の商品に対する理解と納得が得られた上で販売しているため、苦情は皆無に近い状態です。お客様からの相談は、インターネットや電話で月に数件寄せられ、その主な内容は、病気に対する効能や商品の飲み方などですが、効能については薬事法上、説明できないことをきちんと伝えています。このほか3年前、商品販売時にお客様アンケートを配布しお客様の声を集めましたが、苦情に関する内容はありませんでした。

自主行動基準の策定と大阪府への届出

(コンサルタントの勧めで策定)

 同社の自主行動基準は、大阪府知事への第1号の届出ですが、同基準の策定と届出は、経営コンサルタントの勧めがきっかけでした。創業時から取り組んでいる食品の安全・安心を重視した消費者対応とその考え方をお客様に伝えていくことが必要だとアドバイスを受けたためです。安全性をPRすることで、お客様の信用を高め、購買につなげていくことが大切だと気付きました。
 「株式会社山本芳翠園の現在及び将来のお客様への約束・行動基準」は、これまでの事業活動やお客様対応の考え方や方法を見つめ直し、それらをまとめあげて策定しました。その特徴は、有機JAS規格に基づいた安全確保体制の徹底、客観的なデータに基づいた成分表示、お客様が適確に判断でき誤解しない表現ヘの配慮、お客様に対して直接勧誘しない方針、少量の試用から薦める契約方針、消費者や消費者団体からの意見を外部の専門家とともに検討し経営の改善に役立てることなどが明示されていることです。
 今後、自主行動基準をホームページ、上で公開し、基準の遵守では、経営コンサルタントや広告業者などの参画を得て、自己監査体制を整備する予定です。

ここがポイント

(食品の安全・安心に対する徹底したこだわり)

 安全・安心な食品を提供することを第一に考え、創業時から無農薬で有機肥料栽培の原料を使用する方針を貫いています。この方針に基づいて、有機JAS規格の認定を受け、商品の成分に関する情報を他社よりも詳しく提供しています。また、自社の取組だけにとどまらず、外注先である生産工場に対してもJAS規格の認定取得を勧め、同規格に適合できるよう具体的に指導しています。
 同社は、従業員5人という小規模企業ですが、食品の安全・安心に対する徹底したこだわりに重きをおき、外注先や取引先を巻き込んで実践しています。

(お客様の理解と納得を重視した販売方法)

 自社製品の販売は、お客様に対して直接勧誘しない方針です。収益という観点からは、消極的とも思える販売方針ですが、かえって、お客様が商品の内容を理解し納得した上で購入することにつながるため、お客様の満足を得ています。それは、先述したように苦情がほとんど発生していないことからも分かります。すべての企業がこのような販売方針をとることは難しいと思われますが、商品の内容や品質、契約条件などをお客様自身で見極め、購入の判断ができるよう、正確な情報の提供に配慮することが求められます。

(これまでの事業活動を自主行動基準にまとめる)

 同社は、食品の安全・安心を重視する取組や、お客様に対して、直接勧誘しない方針を当たり前のように実践してきました。これらの取組を集大成し、自社の考え方として外部に情報発信することによって、お客様の信用を高め、事業の発展につなげるために自主行動基準を策定しました。自主行動基準の策定を全く新しい取組とは考えず、自社のこれまでの事業活動とお客様対応に対する考え方や方法をまとめあげることだと考えています。
 自主行動基準の策定は決して難しいものではなく、日頃の事業活動を消費者本位で見直すことによって、消費者に与える安心感を高める契機になると考えられます。

(*1)
JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)に基づき、有機食品のJAS規格に適合する、農薬や化学肥料の使用が制限または禁止された厳しい生産基準で生産された農産物を認定する規格。この規格を満たす食品には有機表示ができる。

自主行動基準検討部会長のコメント

 同社は、有機JAS規格の認定を受けた青汁を生産する小規模事業者ですが、社長自らが商品の安全性のみならず、消費者対応においても「Good Lifeの創造」というキーワードの下に、よりよい生活スタイル・より強い生命力に関して創造提案を進めています。
 商品の広告について、「広告は事実に基づき制作いたします。当社の商品の成分について公的機関が証明した事実を掲載します。・・・・誤解を与える表現はしません。」また、苦情及び相談の処理体制については、「・・・・社員は誰でも対応できるよう訓練を行います。苦情・相談は必ず所定の用紙に記録します。」など、すぐれた企業倫理に基づいた自主行動基準が作成されており、小規模事業者の範になることを期待しています。

出典
 大阪府消費生活センター 2007年3月発行『消費者重視の経営ハンドブック』
 『第4章 消費者重視の対応に取り組む事例』より